主教教書(23) 「礼拝・公祷再開へ向けて」

「礼拝・公祷再開へ向けて」

日本聖公会東京教区
各教会・礼拝堂・教役者・信徒の皆さま
2021年6月24日
洗礼者聖ヨハネ誕生日

東京教区主教       
フランシスコ・ザビエル高橋宏幸
 この度、6月20日「緊急事態宣言」が解除され、「まんえん防止等重点措置への移行」との方向が示されました。
 昨年12月18日、東京都は「医療提供体制レベル4」を発表し、それに対して東京教区では「礼拝・公祷の一斉休止」とし、再開は「医療提供体制レベル3」になることを目安として参りました。
 今も、東京都の「医療提供体制レベル」は依然「4」の表示のままですが、状況としては以下のような推移が見受けられます。
  • 昨年12月の「レベル3」の時点より現在は数値が低くなっていること
  • 国の指標に東京都を当てはめますと、6月7日より「感染状況」は「ステージ3」へ引き下げられていると判断することができること
  • コロナウィルス感染症対策分科会の報告でも、病床使用率、重症化率の低下等が知らされていること
  • 未だ全体の割合は低いものの、ご高齢の方がたのワクチン接種が広がりつつあること
  • コロナウィルス感染症への医療や日常生活に於ける対応が、経験、知識の積み重ねにより以前より深まり、異なった段階にきていること

 また、私たちは身体の健康もさることながら、心や霊的健康も大切なものです。長きに亘り霊の糧に与れずにいたことや、共に集えなかったことへの辛さは計り知れないものがあります。このことも、信仰生活に於いては度外視するわけにはまいりません。
 これらのことを鑑みて、また6月20日開催の「拡大聖職会」での教役者間での合意、常置委員会での協議を基に、「礼拝・公祷の一斉休止」を解くことと致します。

 しかしながら、この「礼拝・公祷一斉休止」解除は「一斉執行」ではなく、「一斉休止」を解くものであり、慎重な予防対策を条件に、7月4日(聖霊降臨後第六主日)より各教会・礼拝堂の置かれた状況に応じて礼拝・公祷の開始を可能とするものであることをご理解ください。
 これまでも、常置委員会、聖職会、各教会・礼拝堂教会委員会等で、礼拝・公祷の段階的再開へ向けての様々な話し合い、シミュレーション、工夫を積み重ねて頂いて参りましたが、今般、オリンピック・パラリンピックの開催もあり、再び感染拡大の懸念もある中、自分のためだけでなく他の方がたのいのちをも守るために、キリストの教会として、くれぐれも慎重な判断や対応を実施して頂くよう、重ねてお願い致します。

 再開の日程や方法等につきましては、各教会・礼拝堂ごとの現状把握および判断を尊重することとし、聖餐式に限らず、礼拝形式に差異が生じる可能性がありますこともご承知ください。なお、再開状況につきましては、総主事(高橋顕司祭)宛お知らせください。
 「礼拝・公祷の一斉休止」を解きましても、状況により直ぐに再開が出来ない教会、あるいはしないという判断をされる教会、また聖堂や礼拝堂に来られない方も少なくないこと、ワクチン未摂取者、あるいはできない、しないと判断されている方がたがおられることを心に留め、そのような方がたへの配慮を忘れずにいたいと思います。そして、一層深く互いに祈り合いながら、この局面を共に歩んでいきたいと思います。
 再開に際しては、別途記載の「感染防止要件確保の確認」の項目の確認と遵守をお願い申し上げます。

 社会との接点の中でのいのちと生活を支える尊いお働き、殊に社会福祉施設、医療施設、高齢者施設、幼稚園、保育園等のお働き、社会生活の営みを支えるお働きと、そこで献身していらっしゃる方がた、関係者のためにもお祈りを捧げます。私たちは各々の生活の場にありながらも祈りを通しての繋がり、強さ、そしてその大切さ、キリストの体という共同体の信仰の素晴らしさを深く心に刻んでおります。
 感染症に罹った方がたの一日も早い回復、医療の最前線で力を尽くしておられる方がたの献身的なお働き、生活上の不安、困難を余儀なくされている方がたへの支え、ご逝去された方がたの魂の平安と悲しみの内にある方がたへの慰め、この危機の収束を切にお祈り致しましょう。私たちは場所としての教会・礼拝堂には集まれずに過ごしてきましたが、祈りの連帯の内に神様のいのちの息吹を頂き、共に生かされている、このことを謙虚に、そして感謝をもって心に刻みたいと思います。

 まだコロナウィルス感染症の収束迄には時間がかかりそうですが、私たちは、新しい生活様式を工夫し、状況にあわせながら、神様が教会に託されている働きを続けてゆきたく祈ります。誰もが感染者となる可能性があることを常に心に留めつつ、今後も信仰と希望と愛を失うことなく、一層の配慮を必要とする人びとや弱くされている立場の人びとへの配慮を忘れぬよう努めたと思います。

主が憐れみをもって、私たちの悩みを顧み、愁いと恐れを取り除き、み顔の光によって私たちに主を仰ぎ見る力と希望を注いでくださいますように アーメン


「感染防止要件確保の確認」の項目

* 礼拝・公祷に出かける前に(当日および前日)

  1. 風邪のような症状がある時や体調や気分が優れない時は自宅で待機ください
  2. 礼拝前日、当日の体温測定をお願い致します(平熱より一度以上高い際には、外出をお控えください)
  3. 公共交通機関の利用は、できるだけ避けるようお願い致します
  4. マスクを必ずご用意ください。また、水分補給等にも十分留意ください
  5. 外出しない、出かけないという判断、決断も大切にします。移動手段などを含め、礼拝出席に不安のある方、基礎疾患のある方やご高齢の方などは無理な外出はお控えください
  6. 徒歩圏内の近隣の教会など、所属教会以外の礼拝に参加希望の際には、出席予定日前日までにその教会に連絡を取り、参加の許可を得るようにしてください

*礼拝・公祷について

  1. 礼拝堂・聖堂の環境(密閉・密集・密接回避の徹底)の整備
  2. 手洗・消毒・マスク着用等の適切な対応での礼拝出席、および礼拝前の検温・   奉仕者の手洗・消毒の徹底
  3. 礼拝回数・聖歌曲数・礼拝式次第の工夫(場合により祈祷書の選択的使用)
  4. 聖餐式を行う場合の「平和の挨拶」「陪餐方法」等は主教座聖堂「聖餐式での感染症対策」を準用しての対応
  5. 聖堂・礼拝堂、礼拝用品、礼拝用書等の清潔な扱い
  6. 礼拝出席者数・年齢構成・来会方法(利用公共交通機関)への配慮と対応
  7. 礼拝出席者の記録(万が一の際の感染経路確認のため主日のみならず平日の礼拝等人の出入りについても、必要な期間記録しておく)
  8. 体調不良時の礼拝出席自粛の促し(無理な外出、不安時には、礼拝出席を控えることへの促しと安心感を与える配慮)
  9. 礼拝(公祷)後の速やかな解散、沈黙の励行、また当面の愛餐会等飲食の休止
  10. ご葬儀等を行う場合については、感染症対策の上で執行可能
  11. 家族や少人数での礼拝や記念式、病床、ご自宅での聖餐を行う際には、当該施設やご本人、ご家族との十分な連絡、配慮の上で実施

*礼拝以外の集会等および連絡対応について

  • 先ずは礼拝・公祷再開に焦点を置き、その他の集会は極力必要なもののみとし、出来る限りオンラインの活用等を勧めること
  • AA等の依存症自助グループ、給食活動等の対社会的、且つ命に関わるものの実施は寧ろ必要であり、十分な配慮、工夫の上実施可能とすること
  • 礼拝・公祷再開後、クラスターが生じた際には、速やかに教会、及び教区事務所(高橋顕総主事)宛に通知すること、その際、プライバシーには配慮し、感染経路確認等に協力、対応すること
  • 教役者が感染した場合には、所定の消毒作業終了まで教会を閉鎖すること

《2021/07/07追記》

聖アンデレ主教座聖堂

聖餐式での感染症対策    収録にあたって     20210701

  • 教会・礼拝堂施設での出入の際は、手足など洗浄・消毒に留意する。
    また公共交通機関の使用の回避など移動についても留意する。
  • 聖具類は、清掃・洗浄・消毒をし、清浄なものを用いる。それ以外の聖卓周りのものも清浄を旨として準備する。
  • 聖具類に触れるときは、事前に手指を消毒する。
  • 入退堂の時は、人と人との間隔に注意する。
  • 大きな呼気を必要としないよう、音響設備を活用し、言葉や歌の発声に注意する。
  • マスクを着用する。ただし司式者は、十分な距離を、聖品・聖卓・他の人びととの間にとることができるとき、着用しないことができる。
  • 朗読・説教する者はその間、感染対応の上、マスクをしないことができる。
  • マスクの脱着は、ひもを持って行い、着脱の後、手指を消毒する。
  • 平和の挨拶では移動せず十分な距離をとって挨拶を交わす。
  • 奉献の準備・献金の扱いは、手指を消毒した補式者が行う。
  • 準備と続く聖別の間(聖卓に口にするものがあるとき)、司式者は聖皿、聖杯、ポール、ピュリフィケータとコーポラル以外に触れない。触れた場合は直ちに手指を消毒する。
  • 司式者はマスクを取って手指を消毒してから陪餐する。その後マスクを着け、手指を消毒して分餐に移る。
    聖卓布汚染防止のため、外したマスクを置くための消毒済の器を聖卓上に用意しておく。
  • 補式者や会衆の分餐は、ワインに浸したパン、あるいはパン一種のみを、受領者の手のひらに置くようにして行う。手と手の接触は避ける。
    分餐前の言葉は、一同で一度、唱えるようにしてもよい。
    分餐時の「アーメン」は言わない。(心の中で、あるいは口を開かず言う。)
    残った聖品の飲食および器の清めは司式者が行う。
  • 会衆がある場合、消毒や相互の距離など、感染予防、3密を避けるようにする。
  • 礼拝後はなるべく速やかに退出する。また必要な清掃や消毒をお願いする。