主教教書(11) 「緊急事態宣言延長の中で」

日本聖公会東京教区
各教会・礼拝堂・教役者・信徒の皆さま

「緊急事態宣言延長の中で」

2020年5月21日
昇天日

東京教区主教      
フランシスコ・ザビエル高橋宏幸

 教会の暦は、主イエスのご昇天日から聖霊降臨へと向かっています。
 大型連休明けには「緊急事態宣言」が解除されることを誰もが期待していましたが、更なる延長を余儀なくされ、専門家からは今後への不安の声等も出ております。
 一日でも早く通常の生活に戻りたいとの願いは全ての人の願いです。「そろそろ大丈夫だろう」「具体的な数字での目途が欲しい」との声もあります。
 しかしながら、依然として地球全体が「いのちの危機」に直面していることは否定できません。これまでの繰り返しになりますが、この深刻な状況の中、「神様からの賜物である尊いいのちを守る(守り合う)ため」に最善を尽くすこと、祈りによる連帯と神様への信頼に思いを深め続けたいと切に願います。
 殊に東京都の状況を見ます時、今後も引き続き礼拝(公祷)休止を余儀なくされています。同時に礼拝再開の具体的日付が出せず忸怩たる思いでおりますが、収束の時に向けて教会は今後も様々な方法を用いてキリストにある繋がりを確かめ合い、守り続けています。

 教区としましては、礼拝(公祷)再開が可能な時期が決定しましたら、速かにその日時と礼拝の方法を各教会・礼拝堂にお知らせする予定でおります。そのためにも、それに先立ち、今後Zoom等を用いての「聖職会」を複数回開催し、礼拝(公祷)再開へ向けての話し合いの時を持ち始めることに致します。この聖職会での協議を基に、段階的礼拝(公祷)再開への備えをし始めてまいります。

 イエス様の昇天は私たちを置き去りにして遥か空の彼方へ遠退かれたのではなく、更に大きく、広く神様の命に包み込んでくださることを伝えています。そのことを心に深く留めながら心と言葉を合わせて、今後も毎主日正午には主イエス・キリストが授けてくださった「主の祈り」をそれぞれが居られる場所で、共通の信仰的業として捧げることを継続していきたくお願い申し上げます。私自身も祈ります。皆さまもご一緒にお祈りください。また、他の方々にも祈りに加わってくださるよう、お知らせとお勧めをお願い申し上げます。この時期「Why」よりも「For What」の発想こそ大切であることを教えられ、誰かのために、何かのためにできること、しなければならないことを祈りの内に聴き続けたく思います。

 また、社会との接点の中での尊いお働き、殊に社会福祉施設、医療施設、高齢者施設、幼稚園、保育園等のお働きと、そこで献身していらっしゃる方がた、関係者のためにもお祈りを捧げます。私たちは各々の生活の場にありながらも祈りを通しての繋がり、強さ、そしてその大切さ、キリストの体という共同体の信仰の素晴らしさを深く心に刻んでおります。

 感染症に罹った方がたの一日も早い回復、医療の最前線で力を尽くしておられる医療従事者の献身的なお働き、生活上の不安、困難を余儀なくされている方がたへの支え、ご逝去された方々の魂の平安と悲しみの内にある方がたへの慰め、この危機の収束を切にお祈り致します。